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呂律が回らない‐意味とは?病気,障害,対応策
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呂律が回らない‐意味とは?病気,障害,対応策を言語聴覚士が解説

みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。

私はこれまで、総合病院や吃音改善機関で患者さんへのリハビリを8年行っていました。

現在は、言語聴覚士養成校の講師、滑舌や吃音にお悩みの方に改善レッスンを行っています。

呂律トレーニング-言語聴覚士

今回のテーマは
呂律が回らない
です!

改善するお悩み

・呂律が回らないって何?
・なんで呂律は悪くなる?
・良くする方法はあるの?

はじめに

私は言語聴覚士として様々な方のお悩みにこれまで向き合ってきました。相談される方の中には

・急に呂律が回らなくなってきた
・聞き返されることが多くなってきた
・さ行がうまく言えない
・ら行がうまく言えない

このような表現をされる方がたくさんいらっしゃいます。これは呂律が回らない状態です。これらの問題を改善するにはどうすればいいのでしょうか?当コラムでしっかり解説していきたいと思います。目次は以下の通りです。

全体の目次
・呂律とは何か?
・呂律の仕組み
・なぜ呂律が回らなくなるのか
・改善する指針
・簡易診断,チェック

呂律が回らなくなる状態の基礎がしっかり理解できると思います。是非最後までご一読ください。

呂律回らない,悩み

呂律の意味とは?

まずはじめに呂律とは何か?基本的な知識を抑えておきましょう。

意味

呂律とは様々な定義がありますが概ね以下のように定義できます

ものを言う調子。ことばの調子。

このように定義されています。よく「呂律が回らない」と表現されます。具体的には、舌をうまく動かすことができず、発音がうまくできないときに使われます。

語源

元々は中国からきた言葉です。

呂とは「音階」を意味して
律とは「正しさ」を意味します

音階が正しくないときに、呂律が合わないという表現として使われてきました。日本では、日常的な会話の中で、発音がうまくできないという意味で、江戸時代前期あたりか使われてきたと言われています。

何百年も前のご先祖様も、呂律が回らないという症状に悩んでいたことがわかります。

呂律の仕組み

次に呂律についての基本的な仕組みを抑えていきましょう。まずは以下の図をざっと見てみてください。

呂律仕組み,メカニズム

①脳から指令が出る

私たちが会話をしているとき、脳や体に実に様々な連携をとって発音をしています。まず初めに反応をするのは、脳の表面にある皮質という部分です。

皮質は人間らしさの脳と言われていますが。この部分から発音の指令が出ます。

②指令が神経を通して連絡

次に、脳から命令がでると「神経」がそれを「筋肉」に情報を伝えます。神経は情報を伝える電話回線?のようなものです。

脳から出た指令が、神経という連絡手段を通して、筋肉に伝わっていきます。

③舌が動く

神経から情報をキャッチした筋肉は、指令に基づいた動きをします。呂律の場合は、舌や唇など発音に必要な筋肉が働くことになります。

*1つの例として、酔っぱらうとなぜ呂律が回らなくなるのか?解説しました。理解を深めたい方は展開してみてください。

お酒を飲むと呂律が回らなくなるのは、脳内のアルコール濃度が上がり、脳の活動が下がってしまうからです。ほろ酔いを超えると呂律が回らなくなってきます。

個人差はありますが、目安はビールで1,500㎖くらいです。

具体的には
・350㎖の缶ビール4本くらい
・生ビール中ジョッキ4杯くらい

メカニズム

①大脳皮質が活動しなくなる

皮質の働きは
・理性を司る
・運動の指令を出す
などがあります。

ここの働きが低下してしまうと
・理性が効かなくなる
・指令がうまく出せない
・指令が伝わらない

このような状態になってしまいます。

 

②感情が豊になる

普段は、理性(皮質)によって抑えられていた
・本能
・感情
などが活発になります。

 

③さらに酔いがまわります。

すると、ますます大脳の活動が低下してしまい
・呂律が回らない
・足がもつれる
このようなことが起こります。

 

アルコールが原因であれば、酔いが冷めれば呂律は元に戻ります。

 

なんで呂律が回らない?

このように呂律は様々な器官が連動して成り立っているのです。もし、うまく話せないという症状があったとしたら、様々な原因が考えられます。

代表的なものとしては
・脳の病気,障害
・構音障害

の2つが挙げられます。

脳の病気,障害

最も代表的なものは、脳血管疾患という脳の病気です。脳の病気としては以下のものが挙げられます。

・脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が詰まり血流が途絶えてしまうもの

・脳出血
脳出血は、脳の血管が切れてしまい出血してしまうもの

・一過性脳虚血発作
ごく短い時間だけ、脳の一部分の血流が途絶えてしまうもの
などがあります。

脳血管疾患になると、
・脳がうまく指令を出せない
・指令を伝える神経が損傷
・舌などの筋肉が動かない
このような問題が起きてしまい、発音がうまくできなくなります。

呂律回らない仕組み,メカニズム

構音障害

一方で構音障害とは、何らかの原因で、発声がうまくできなくなる障害を意味します。先程お伝えした通り、発音は、脳、神経、筋肉の3つが連動して行われるものです。

音障害はこのいずれかに問題が起こり、発声が困難になった時に診断されたりします。脳の病気は脳がメインですが、構音障害は神経や筋肉の問題まで幅広く影響していく点で特徴的です。

構音障害は以下のように様々な種類があります。

⑴運動障害性構音障害
⑵器質性構音障害
⑶機能性構音障害

特に呂律が回らないときは、運動性構音障害と診断されることが多いです。専門的な話になってしまうので、ひとまず先に進みますが、詳しく理解を深めたい方は後程下記のコラムを参照ください。

構音障害の種類と理解

大きな病気かも

呂律は、ときに病気なのかも?という判断材料の一つになることがあります。

・急に呂律が回らなくなった
・顔や舌が曲がってた
・突然、話せなくなった

これらは1つの目安ですが、いつもよりも明らかに違う場合は、医療機関を受診してください。

具体的には、お近くの脳神経外科が第一候補となります。

脳梗塞,頭痛い-呂律

呂律改善の流れ

次に改善する方法について解説します。一般的には

①アセスメント
②トレーニング
③自主練習

という流れで改善していきます。

①アセスメント

ご依頼者の日常会話や舌などの運動から、発音の状態をみます。

具体的には
・舌や唇の麻痺があるか
・苦手な発音はどれか
・口の開きはどうか
・その他の問題はあるか

このようなことを調べて呂律の状態をみていきます。

②トレーニング

舌の動きから改善すべき点を検討し、実際にトレーニングを行います。トレーニングメニューは複数ありますが代表的には以下の3つが挙げられます。

・舌の脱力練習
舌の力を抜く練習です。舌の力みを取り除いたり、動かすときの力加減を調整するために行います。

舌をまっすぐ前に出す練習
口を開けたまま、舌をまっすぐ前に出すことで、舌の動きをコントロールしやすくしていきます。

ゆっくり発音練習
苦手な音をゆっくり発音する練習です。発音の方法を確実に身に着けるために行います。

このような練習を行いながら、発音が綺麗になっていきます。

③自主練習

言語聴覚士からはご自身で行うトレーニングメニューを渡すことが多いです。具体的には、基礎練習+発音練習で行うことが多いです。

・基礎練習:舌を動かす
・発音練習:発音を綺麗にする

内容は、状態に合わせて決めます。どのような原因、症状であっても、言葉のリハビリの専門家である言語聴覚士と練習を行うことが多いです。

呂律を改善した事例

最後に、私の経験談を事例としてご紹介します。病院でのご依頼で60代の男性のケースです。

①アセスメント

・脳梗塞があり入院された経験があります
・全体的に呂律が回らない
・特にラ行が言えない

これらの症状がみられました。

呂律回らない,実際に行う練習

②トレーニング

練習メニューは以下のように作成しました。

舌の脱力練習
5秒キープ 1日に2~3回

舌をまっすぐ前に出す練習
口角の位置と平行に5秒
これを1日に2~3回

ゆっくり発音練習
舌で口の天井をなぞりながら「ら」

これを1か月つづけました。

これらの練習をするだけで一苦労だったのですが、少しづつ練習をしやすくなっていきました。同時に呂律が少しよくなっていきました。

次の段階として個別の音の改善をしていきました。特にラ行を発音するとき、もぞもぞとした話し方になってしまっていました。とにかくゆっくりでもいいので正確に発音する練習をしました。

③自主練習

これを毎日10分行うようにお伝えして 週に2回のペースでレッスンを行いました。

発音は2ヶ月くらいでラ行は少し良くなっていきました。

1年後、苦手な音を正しく発音することができるようになり、レッスン卒業となりました。

呂律良くなる,段階

まとめとお知らせ

まとめ

呂律が回らない状態ですと言いたいことが言えず、すごく落ち込む方もいらっしゃいます。私が言語聴覚士としてトレーニングしていくなかで、呂律が改善するケースがかなりありました。

是非、日々リハビリをコツコツして、じっくり発音の力を高めていきましょう。

滑舌改善コラム

呂律のトレーニングとして、滑舌練習がお役に立つことがあります。基礎知識としてこちらのコラムも参照ください。

滑舌改善コラム

お知らせ

筆者は言葉の改善のトレーニングを行なっています。

・呂律を改善したい
・舌の動きを見て欲しい

このような悩みを抱えている方、弊社のアセスメントを受けてみませんか?お一人お一人に合った呂律改善のトレーニングを提案します!

お気軽にお問い合わせください♪詳しくは下記の看板でお待ちしています。


著者

林 桃子(言語聴覚士)

経歴

・リハビリテーション病院 勤務
・総合病院 勤務
・デイサービス 非常勤勤務
・言語聴覚士養成校 非常勤講師

*出典・参考文献・書籍・サイト
1)医療情報科学研究所"病気がみえるvol.7脳・神経第1版"株式会社メディックスメディア(2011):60-61,84-85,240-242.
2)本間慎治ら"言語聴覚療法シリーズ7改定機能性構音障害"建帛社(2007):11-116.
3)西尾正輝”ディサースリアの基礎と臨床第1巻理論編"インテルナ出版株式会社(2006):69-72.
4)KIRIN:血中アルコール濃度と酔いの程度 http://www.kirin.co.jp/csv/arp/fundamental/blood.html

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