構音障害の種類と改善方法を言語聴覚士が解説!①
みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。
私はこれまで、総合病院や吃音改善機関で患者さんへのリハビリを8年行っていました。
現在は、言語聴覚士養成校の講師、滑舌や吃音にお悩みの方に改善レッスンを行っています。
今回のテーマは
「構音障害」
です!
全体の目次
コラム①構音障害の原因と改善方法
コラム②リハビリが鍵!運動障害性構音障害
コラム③舌の使い方の問題!機能性構音障害
コラム④構造の問題!器質性構音障害
コラム⑤発展編!簡易チェック
改善するお悩み
構音障害って何?
発声がうまくできない
練習方法を知りたい
はじめに
構音障害の研究で有名な多田(2003)は「コンプレックスが強いため構音が正常になっても自信が持てず、なかなか訓練を終了できない」と報告しています。
私自身、構音障害の方とレッスンを行なってきましたが、これはお子さんに限ったことではなく、全世代に言えることだと思います!
コラム①では構音障害の概要をお伝えします。コラム②以降は具体的な改善策を解説していきます。是非、最後までご一読ください。
構音障害とは何か
構音障害を改善するために大前提として、正しい知識を学ぶ必要があります。まずは基本をおさえておきましょう!
定義
構音とは、専門用語で“発音”のことをいいます。
構音障害とは、
発音の異常である。口内炎や歯科麻酔、酩酊状態に伴う一時的なものは含まず、永続的な状態をさす。(言語聴覚療法臨床マニュアル第3版より)
このように定義されています。
症状
一言でいうと
”発音がうまくできない”
状態です。
例えば、
「水が 飲みたい」
と言いたいのに
「みどぅが どみたい」
となってしまいます。
このように、言葉をきれいに発音できず、目的の音に聞こえなくなってしまいます。
どうして発音がうまくできなくなってしまうのでしょうか?
構音障害の原因と種類
今度は、構音障害の原因を解説していきます。
構音障害は、原因によって5つの種類に分かれます。
詳しくみていきましょう!
1)運動障害性構音障害
2)器質性構音障害
3)機能性構音障害
4)感覚性構音障害
5)言語性構音障害
原因と症状を合わせてみていきましょう!
1)運動障害性構音障害
原因
脳血管疾患や頭部の外傷などによって、脳や神経の発音を司る部分が損傷すること
症状
舌や唇などに麻痺などの問題が生じてしまいます。
これにより、発音に必要な運動ができなくなってしまい、構音がうまくできません。
2)器質性構音障害
原因
舌や唇など発音に必要な部分の構造の問題
症状
①先天的な構造異常
・舌小帯短縮症
・口唇口蓋裂
など
②後天的な構造異常
・事故や手術による後遺症
など
このような構造上の問題があるため、発音に必要な動きが難しくなってしまいます。
3)機能性構音障害
原因
舌や唇に構造や麻痺などの明らかな問題はありません。
症状
明らかな原因はありませんが、
・舌が不器用
・舌の使い方の癖
などによって構音がうまくできなくなってしまいます。
4)感覚性構音障害
原因
・聴覚障害
・発音に必要な器官の感覚に問題がある
症状
自分の話している発音を聴覚もしくは他の感覚でフィードバックできないため、発音がうまくできなくなってしまいます。
5)言語性構音障害
原因
・言語学習障害に伴う発音の発達の遅れ
・母国語が日本語でない
など
症状
例えば、
・韓国人は「ホ」が苦手
・英語話者は「つ」が苦手
などがあります。
代表的な構音障害は、1)〜3)です。
ですが、今回は構音障害を幅広く紹介するため、5つの構音障害をご紹介しました。
これらは、原因は異なり起こる症状は少しづつ異なりますが、“発音がうまくできない”状態になってしまいます。
そのため、困っている症状によって改善方法が異なります。
構音障害の改善は、原因と症状にあった方法を選択することがポイントです!
構音障害のなおし方
では、構音障害の改善方法を解説していきます。
種類や症状によって選択できる方法が変わります。
詳しく説明していきます。
補綴
補綴とは、口の中の足りない構造を補い発音しやすくするための補助具です。
例えば、器質性構音障害や運動障害性構音障害で舌が口の天井に届かない場合、舌を口の天井に触れられるようにするための補助具を装着することがあります。
①舌が口の天井に届かない
②舌接触補助床という補綴を使って、舌と口の天井の距離を埋める
③マウスピースのようにパコっと装着する
舌で口の天井に触れることができるようになるので、発音がしやすくなります♪
構音の練習をする準備万端です^^
このような補綴は、医師や歯科医師と作成します。
手術
手術は、器質性構音障害で行われることがほとんどです。
医師が必要だと判断した場合、運動障害性構音障害でも行われることがあります。
手術を行う例として、舌小帯短縮症や口唇口蓋裂などがあります。
次回以降は種類別に!
構音障害の原因は様々で、種類や原因によって改善方法が異なることがわかりました。
しかし、発音の練習は目指す目的が同じですので、共通していることも多くあります。
残念ながら、発音は1日で改善することはありません。
根気強く練習を続けて、発音を良くしていきましょう!
具体的な改善方法は、次回以降のコラムでご紹介します。
内容は以下の通りです。
コラム②リハビリが鍵!運動障害性構音障害
コラム③舌の使い方の問題!機能性構音障害
コラム④構造の問題!器質性構音障害
コラム⑤発展編!簡易チェック
コラムを通して、構音障害の改善方法をわかりやすくご紹介していきます!
正しい改善方法を知り、より楽しいコミュニケーションを目指しましょう!
お知らせ
ここで少しだけお知らせをさせてください。私林は言語聴覚士として、言葉にお悩みの方の個人レッスンを行ています。
・滑舌が悪い
・原因が自分ではわからない
・個人にあった練習がしたい
・吃音の症状もある
などのお悩みがある方は良かったら私のレッスンを受けてみませんか?個人にあったとレーニングをしっかり提案させて頂きます。詳しくは下記のお知らせの看板をクリックください(^^)
ぜひお待ちしています。
著者
参考文献・書籍
1)平野哲雄,長谷川健一,et al.”言語聴覚療法臨床マニュアル改定第3版”協同医書出版社(2014):364-439.
2)多田節子, and 阿部雅子. "機能性構音障害 99 例の構音訓練." コミュニケーション障害学 20.3 (2003): 137-144.