訛り,方言の直し方,標準語のアクセントを身に着ける方法
みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。
私はこれまで、総合病院や吃音改善機関で患者さんへのリハビリを8年行っていました。
現在は、言語聴覚士養成校の講師、滑舌や吃音にお悩みの方に改善レッスンを行っています。
今回のテーマは
「訛り,方言の直し方」
です!
改善するお悩み
・方言が抜けない
・きれいに話したい
・使い分けをしたい
全体の目次
・標準語&方言とは?定義
・なまりが抜けない原因
・自力で標準語を話す練習
・標準語のまとめ&発展
はじめに
地方から上京してきた人が、まず悩むのがなまりではないでしょうか。
・どうやっても方言が抜けない
・イントネーションが変かも?
・もしかして、なまってる…?
私自身も上京したての頃は、なまりが激しくてとても苦労しました。
訛りは私たち地方出身者にとって愛すべき特徴の1つではあるのですが、都会の人には理解されにくい発音などもあります。
個人的には仕事上では、標準語と使い分けができるようになると良いと考えています。そこで、標準語をマスターしたい方向けに標準語を話す練習法を解説していきます!
標準語とは
定義
標準語とは、
音韻・語彙・語法などすべての面で国語の規範として尊重され、教育・法令などの公用語として用いられる言語(大辞林 第三版より)
このように定義されています。
つまり、日本において全国共通で公式な場で使われる言葉です。
方言
限られた地域に使われる、共通語とは異なる語彙・発音・語法。なまり。
(大辞林 第三版より一部簡略化)
このように定義されています。
これは、各地域で日本語をアレンジして使っているということです。
方言が生まれる過程には諸説あります。
・各地域の気候などに合った発音をした
・山や川など地形が激しく他の地域に行けなかった
・江戸時代の藩政度の影響で交流が少なかった
このような影響で、使うことばが地域によって変わったのいわれています。
生まれ育った地域の方言は、その言葉が当たり前なので気が付きにくいもあります。
そのため、上京したとき方言がなかなか抜けない〜となってしまいます。
標準語は東京式
標準後は言語学の世界では、東京式アクセントと呼ばれています。主な地域は、関東地方、北海道、東北北部、甲信越地方、九州の一部などです。
下記の図では主に青色の部分となり、比較的訛りが小さい地域です。オレンジやピンクの地域は訛りが強いと思われます。
標準語の具体例
東京式アクセントの名詞の具体例は以下の通りです。図表のモーラとは日本語における、リズムの最も基本的な単位です。
例えば
「ありがとう」は「 あ / り / が / と/ う」
5文字で5モーラになります。
モーラが増えると、単語と単語が合わさった複合語が多くなるため、アクセント型は複雑になります。
訛りが抜けない!原因3つ
なまりが抜けない原因の代表は2つあります。
⑴アクセントがわからない
地方によって単語のアクセントが異なる場合があります。
代表は3つです。
①関東⇨東京式アクセント
②関西⇨京阪式アクセント
③南東北⇨無アクセント
東京式アクセントと京阪式アクセントは真逆のアクセントになる名
雨「あ/め」
東京式→高・低
京阪式→低・高
花「は/な」
東京式→低・高
京阪式→高・低
山「や/ま」
東京式→低・高
京阪式→高・低
いずれもピッチの上がり下がりが真逆になっているのがわかります。状況に合わせて正しいアクセントを使うようにしましょう。
⑵イントネーションがわからない
地方によってイントネーションが逆になることがあります。
イントネーションは「〜ですか?」という疑問文のとき、文末にピッチが上がります。
しかし、このようにならない地域もあります。
より詳しいことが知りたい方は下記をご覧ください。
イントネーションの地域による違いを解説していきます。
イントネーションといっても、実はいろいろあるので、ここでは疑問文を例にします。
①YES/NO疑問文
②Whereの疑問文
これらの違いを見ていきましょう!
まずは東京方言の場合です。
どちらの疑問文も文末のピッチが上昇します。
しかし、九州の福岡地方は異なるイントネーションになります。
例)
福岡地方
YES/NO疑問文
⇨徐々にピッチが上昇
Whereを使った疑問文
⇨ピッチが下降
このように、ピッチの変化が異なります。
他にも、九州の長崎はどちらの疑問文も文末のピッチは下がるようです。
九州地方出身の方は東京で疑問文を話す際、伝わらない可能性があるかも…⁈
イントネーション真似練習
標準語練習は以下の順番で練習は進めてください。
・イントネーションをマネする
・アクセントをマネする
では、具体的な練習方法に入っていきます。
①準備をしよう
練習に入る前に準備の説明をします。
・YOUTUBEなどで好きな標準語を用意
・10秒程度でOK
音声の文字起こしをしておくと真似しやすいです。
録音の準備をしたら、始めましょう!
②音声をしっかり聞く
全体のイントネーションをよく聞いてください。
例)お電話ありがとうございます。〇〇会社の〜〜でございます。
③真似をする
お手本を参考に自分自身も話してみます。
ポイントは以下の3つを意識しましょう。
・歌を歌うイメージで
・声の抑揚をマネる
・声の大きさをまねる
うまくできたら、マネする長さを少しづつ長くしていってください。
イントネーションのマネがうまくできなかった人は、次のアクセント練習に進みましょう!
アクセント真似練習
①準備をしよう
練習に入る前に準備の説明をします。
・イントネーション練習で使用した音声
練習するフレーズを短く区切ってメモしておくと良いです。
録音の準備をしたら、始めましょう!
②音声をしっかり聞く
全体のイントネーションではなく、単語やフレーズのアクセントをよく聞いてください。
例)お電話ありがとうございます。
③真似をする
お手本を参考に自分自身も話してみます。
ポイントは以下の3つを意識しましょう。
・歌を歌うイメージで
・声の抑揚をマネる
・声の大きさをまねる
最終的にこの練習にたどり着くことが多いので、モノマネタレント目指すつもりでやってみてください♪この人の話し方になりたいをマネしてみてください^^
講師の視点:これだけは標準語で話したい!というフレーズやよく使うことばの練習から始めるとモチベーションが続きやすいです^^
標準語-まとめと発展
まとめ
標準語を話すことで、ビジネスシーンで活動がしやすくなります。
一方、方言を話すことで心理的な距離が近くなるというメリットもあります。
方言を完全にやめる必要はないと思いますが、状況に合わせて使い分けていきたいものです。
イントネーションとアクセント
日本語のイントネーションやアクセントはそれぞれルールがあります。
標準語を話すトレーニングをするとき、役立ちます!
気になる方はチェックしてみてください^^
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著者
*出典
参考文献・書籍
1)今泉敏."言語聴覚士のための基礎知識 音声学・言語学"医学書院(2009): 20-159.
2)前川喜久雄. "イントネーション研究発展の要因 (< 特集> イントネーション研究の現代的課題)." 音声研究 10.3 (2006): 7-17.
3)前川喜久雄, and 北川智利. "音声はパラ言語情報をいかに伝えるか." 認知科学 9.1 (2002): 46-66.
4)大橋純一. "東北方言音声の研究." 國語學 54.3 (2002): 145-150.
5)藤本雅子, and 桐谷滋. "東京方言と近畿方言における母音の無声化の比較." 音声研究 7.1 (2003): 58-69.
6)邊姫京. 日本語狭母音の無声化: 共通語普及の指標として. Diss. 2012.
7)上野善道. "日本語アクセントの再建." 言語研究 130 (2006): 1-42.
8)郡史郎. "現代大阪市方言における低起式アクセントの特徴 (< 特集> 京阪式アクセントと京阪系アクセント)." 音声研究 16.3 (2012): 59-78.
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