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聴覚障害の方へ補聴器の活用方法,種類,聴覚活用
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聴覚障害の方へ補聴器の活用方法,種類,聴覚活用②

聴覚障害コラム①では、聴覚障害の意味や種類、原因や治療法について見てきました。当コラムは全3回のコラムで解説しています。

コラム① 原因や治療法
コラム② 補聴器の種類,フィッティング
コラム③ 人口内耳の活用,種類

今回は「補聴器」について、詳しく解説をしていきます。

補聴器の構造・種類

補聴器とは?

補聴器は、音を電気的に増幅して内耳に届ける機械です。補聴器はマイクロホンでキャッチした音を増幅器で大きくし、レシーバー(出力器)から拡大するというものです。これは拡声器と同じ構造をしています。耳に外側から取り付けて使用します。

軽度〜高度の、特に伝音難聴や混合難聴など、幅広い範囲で適応できます。両耳の難聴の場合は、両耳に装用することにより、どちらから音が聞こえているのか判断する音源定位の能力も改善させることができます。

聴覚活用

聴覚を用いたコミュニケーションを「聴覚活用」と呼びます。聴覚活用は、日常のコミュニケーションや聴覚障害児の学習などにおいても重要であると言えます。

補聴器の種類

補聴器の形には様々な種類があり、代表的な3種類について説明していきます。

箱型補聴器
古くから使われている補聴器です。補聴器の中では、最も大きく音を増幅させることができます。マイクの部分が箱の形をしており少し目立ちますが、手で持ち操作することができて頑丈な構造です。

細かい操作の難しい高齢の方や、高度難聴の方に適しています。補聴器の中では最も安価です。

耳掛け型補聴器
マイク部分を耳の後ろにかけて、スピーカーを耳穴に挿入するタイプです。小さく目立たないデザインの物も増え、今では最も多くの方が使用しています。

音の増幅を大きくするとハウリングが起きやすいため、軽度〜中等度の難聴の方に適しています。価格は性能によって大きく異なります。

挿耳型補聴器
耳穴の中に、補聴器全体をすっぽりと埋め込んでしまうタイプです。肌の色と同じにして髪で隠せばほぼ気づかないため、できる限り補聴器を目立たせたくない方に適しています。

但し型がうまく合わないと長時間の装用で耳の痛みが起きやすかったり、音に違和感が生じやすいため、今ではあまり普及していません。

メーカーにもよりますが、耳型を取る必要があるため、他の補聴器よりは高価であると言えます。

失語症

補聴器のフィッテイング

補聴器は今では眼鏡店などでも購入できるほど身近です。しかし補聴器を購入して装用すれば、すぐに問題なく聞こえるようになると言うわけではありません。

補聴器装着までの理想的な流れは下記の通りです。

1.検査を受ける
検査機器の整った大きい耳鼻咽喉科で詳しい検査を受ける。補聴器外来のある病院が望ましい。

2.医師の判断
耳鼻咽喉科の医師が、検査結果をもとに、補聴器が有効かどうかを判断する。

3.補聴器の調整

その人の聴力に適した特性に補聴器の調整をしてもらう。これをフィッティングと呼ぶ。

4.検査

補聴器装用下の音場聴力検査を受け、裸耳と比較してどの程度聞こえが改善されているか、補聴器が有効であるかの判断をする。

5.定期的な調整

その後も定期的に病院もしくは補聴器店に通いながら、何度も調整を重ねていく。

この流れを正しく行わなければ、音の増幅が大きすぎたり、騒音がうるさかったり、音声が歪んで聞こえるといった問題も生じることがあります。何度も検査と調整を重ねることにより、聴覚障害の方にあった補聴器へと徐々に改善されていくのです。

 

補聴器で残存聴力を活用

まとめ

今回は、補聴器の有効性や種類、フィッティングの流れについて説明しました。

聴覚障害と言うと、手話を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実際に手話を用いている聴覚障害者は、実は5〜10%と少数派です。

利用者が少ない理由としては
・覚えるまでに時間がかかる
・使用者が少ない
・視覚的に見える範囲でしか用いることができない
・周囲の人(特に健聴者)とのやりとりに効率的とは言えない

などがあり、これらを解決するためには、補聴機器を用いて聴覚障害がある方の残存している聴力を活用することが有効となっています。

次回の聴覚障害コラムは、補聴器が有効でない場合に用いる、人工内耳という機械について紹介します。次のコラムも是非参考にしてみてください。

コラム① 原因や治療法
コラム② 補聴器の種類,フィッティング
コラム③ 人口内耳の活用,種類

 

お知らせ

ここで少しだけお知らせをさせてください。私林は言語聴覚士として、声や聴覚にお悩みの方の個人レッスンを行っています。

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という方は良かったら私のレッスンを受けてみませんか?個人にあったトレーニングをしっかり提案させて頂きます。詳しくは下記のお知らせの看板をクリックください(^^)ぜひお待ちしています。



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著者

林 桃子(言語聴覚士)

経歴

・リハビリテーション病院 勤務
・総合病院 勤務
・デイサービス 非常勤勤務
・言語聴覚士養成校 非常勤講師

*出典
・言語聴覚士のための聴覚障害学, 喜多村 健, 2002
・補聴器ハンドブック, Harvey Dillon, 2004

<難聴に関する用語の表記について>
伝音難聴、感音難聴、混合難聴という用語に関しまして、 例えば「混合性難聴」というように、 間に「性」を挟むかどうか文献によって記載が異なります。このコラムでは参考文献に従いまして「伝音難聴」等と言う表記をしております。

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