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滑舌コラム⑥:滑舌・構音障害と吃音の違いとは
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滑舌コラム⑥:滑舌・構音障害と吃音の違いとは,言語聴覚士が解説

前回は発展編として、滑舌の定義と意味についてご紹介しました。

発展編-診断,お悩み相談
コラム⑤ 滑舌と障害の可能性
コラム⑥ 滑舌と吃音の違い
今回は、発展編の2つ目として「滑舌と吃音の違い」について解説していきます。

吃音と滑舌は間違えやすい

私は言語聴覚士として様々な方のレッスンを行ってきました。その中でよく目にするのが、

「吃音症」
  と
「滑舌の悪さ」
の混同です。

一般的には両者の違いは判らないので、吃音症の方がボイストレーニングをして悪化してしまったりするケースをよく見ます。

せっかく頑張っても悪化してしまうのは、とてももったいないですよね・・・そこで当コラムでは、吃音と滑舌の違いをしっかりお伝えします。

コラムを読んで、適切な練習と出会ってくださいね。

滑舌の悪さと吃音の違い

大きな違い

滑舌の悪さと吃音の違いを判断するには以下が判断基準となります。

滑舌の悪さは、言葉は出てくる
吃音は言葉そのものがなかな出てこない

このような違いがあります。

楽器に例えてみましょう。
滑舌の悪さは、ドレミファソラシドがなめらかでない
吃音は、そもそもドレミファが演奏できない

根本的にはこのような違いがあるのです。そのため、吃音の方が、滑舌のためのトレーニングをしたとしても、そもそも音がでないわけですので、効果が出ないことになります。

相違点早見表

滑舌と吃音の違いはどのような点にあるのでしょうか?相違点を見ていきましょう。

 

滑舌

吃音

原因

明らかな原因はない

明らかな原因はない

症状

・言葉は出てくる
・舌をうまく動かせない
・正しい発音ができない
「り」が「い」になるなど

・言葉が出てこない
・言葉を引き伸ばす
・言葉を繰り返す
と、と、時計など

トレーニング

発音の練習
口を大きく開ける
早口言葉

ゆっくり話す練習
脱力する練習
区切り発話法

目指すゴール

正しい発音をする

つまらずに話す

このような相違点があります。こうしてみると違う点の方が多いことがわかりますね。

滑舌,吃音の特徴

滑舌と吃音をもう少し詳しく解説していきます。

滑舌の悪さ

滑舌の悪さの特徴は、発声自体は問題ないのですが、正確な発音ができなかったり、聞き取りにくい発音をしてしまうことが特徴です。

例えば、
・「ありがとう」の「り」の発音が変
・「ありがとう」の「り」→「い」になる
このように発音自体が変わってしまいます。

吃音

吃音は、そもそもの発音自体が出てこない、もしくは非常に努力を要することが特徴です。具体的には初めの音が出なかったり、同じ音を繰り返してしまったりします。

例えば、
・「あ、あ、あ、ありがとう」
・「っっっっっっありがとう」
このように、”言葉に詰まる”ことで、発言することが難しくなってしまいます。

一般的には、吃音症と滑舌の違いは、理解されていないため、このように言葉が詰まる事は滑舌が悪いと勘違いされ、間違ったトレーニングに結びつきやすいと言えます。

事例-吃音だと思ってたのに

吃音で悩む?マサオさん

事例として、私の担当させて頂いたマサオさん(仮名)をご紹介します。吃音の改善でお申し込みを頂いた方のお話です。

マサオさんは

「どもってしまい、上手く話せない、吃音の本を読んでも直らない…」

と悩んでいました。

滑舌と吃の違い,分からない

アセスメントの結果は…

実際にお話をしてみると、確かに話しづらそうで、たどたどしい話し方でした。

具体的には、話すとき口や舌に力が入りすぎてしまい、力を振り絞るように発音していたのです。

例えば
「こんにちは」 という発言ですと
「こんっ!にっ!ちわっ!」
という感じで、不自然に間があいてしまうのです。

話している間ずっとこのような状態でした。マサオさんは発音はできるのですが、滑らかではないのです。これは滑舌が悪い方に見られる症状です。

発音や舌の動きなどを調べたところ、顎の動きと舌の不器用が問題で滑舌が悪くなっていたのです。

吃音の特徴は見られない

一方で、吃音の検査をしましたが、話初めに見られる、ブロック症状や、繰り返し症状は見られませんでした。

マサオさんが吃音の改善のトレーニングをいくらしても改善できないのはそもそも滑舌と吃音を混同していたからなのです。

 

トレーニングの手法を改善

そこで滑舌に適した、脱力トレーニングをしたところ、余計な力がなくなり話すことが少し楽になったようです。

このように、滑舌が悪いのか?吃音の傾向があるのかをアセスメントすることは非常に大事だと言えます。

話し方の悩み

適切な練習を!

一口に発音が悪いと言っても、実は原因はかなり複雑で、一般の方には判断しにくい点もあると思います。

特に吃音の改善は、言語聴覚士など言葉の専門家によるリハビリが必要です。自身での改善に限界を感じられた方は、私がアセスメントと個人にあったトレーニングメニューを提案させて頂いています。

個人に応じたきめ細かいトレーニングをご希望の方は気軽にお声がけください。詳しくは下記の看板をクリックしてみてくださいね。お待ちしています(^^)


 

 


著者

林 桃子(言語聴覚士)

経歴

・リハビリテーション病院 勤務
・総合病院 勤務
・デイサービス 非常勤勤務
・言語聴覚士養成校 非常勤講師

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