難聴②補聴器,人口内耳で改善!言語聴覚士が専門解説
難聴コラム①では、難聴の原因や重要度などについてご紹介しました。当コラムは全4回で解説していきます。
今回は「補聴器,人口内耳」について紹介します。聴力の補填には補聴器の使用と人工内耳の使用があります。コミュニケーション手段に必要なポイントなども含めて説明していきます。
難聴コミュニケーションのポイント
聴力の補填をする目的は難聴者の残存している聴力を増やすことです。これは、補聴器も人工内耳も同じです。難聴者が補聴器や人口内耳を検討するするとき、以下のポイントを考慮する必要があります。
・時期(先天性か後天性か)
・年齢(発達、認知機能の程度)
・生活環境(学生かどんな仕事か)
・聴力の程度
・難聴の種類
・家族(協力者の有無)
・本人の希望
なぜ、こんなに多くを考慮する必要があるのかというと、それは各々に適切なコミュニケーション手段を選択するためです。
これらに応じて、補聴器なのか人工内耳なのかそれ以外なのかを選択します。そして、補聴器だとしたらどの種類にするかなどを細かく決めていきます。
補聴器は小型の拡張器!
次に、補聴器について詳しく解説していきます。
補聴器の構造
補聴器はマイクロホンでキャッチした音を増幅器で大きくし、レシーバー(出力器)から拡大するというものです。これは拡声器と同じ構造をしています。耳に外側から取り付けて使用します。
特徴
補聴器の他の特徴は次の通りです。
【難聴レベル】
軽度〜中等度の難聴者向けです。年齢や難聴の種類に関係なく聴力の程度で選択します。
【機能】
音を増幅して内耳に届けます。歪んだ音声などを正常化する能力はほとんどありません。
【注意】
聞こえの程度が適切な必要があります。大きすぎても小さすぎても疲れやすく、聞き誤りが増える可能性があります。また、感音性難聴はカバーできないこともあります。
補聴器は適切なボリュームの装用で、会話をすることもできるようになります。しっかりとした使い方をマスターしましょう!
補聴器の種類やフィッティングについて詳しく知りたい方は、聴覚障害コラム③をご覧ください。
音を効率よく伝える人工内耳!
次は、人工内耳の使用について説明していきます。人工内耳は手術で埋め込んで設置します。人工内耳の特徴は次の通りです。
【適応】
重度の難聴者向けです。小児の場合、言葉の発達を考えて早期に検討することが多いです。年齢や難聴の種類に関係なく聴力の程度で選択します。
【機能】
普通の音声伝達と異なる経路で効率よく刺激を伝えることができます。
【注意】
設置後は使用のためのリハビリが必要です。
人工内耳を設置し、リハビリを重ねることでスムーズな会話や電話ができるようになることもあります。
人工内耳の構造や伝わり方について詳しく知りたい方は、聴覚障害コラム④をご覧ください。
併用できる4つの方法
補聴器や人工内耳の効果は個人差があります。スムーズに会話ができるようになる人もいれば、音は聞こえるけれど言葉の聞き取りがうまくできない人もいます。そんなときに併用できる工夫をご紹介します。
①読話
発話時の口や顎、表情の連続的な動きを視覚的に観察し、相手の発話内容を理解します。
②筆談
紙とペンがあれば、誰とでもコミュニケーションができます。
③手話
手や腕などを使い単語などを表しコミュニケーションをします。
④指文字
50音を指で表現するもので、手話で表現できないものを表現します。
これらなどをうまく併用することで、さらにスムーズなコミュニケーションが望めます。次回の難聴コラムでは、視覚的コミュニケーションの使用「筆談」と「読話」についてご紹介します。
次のコラムも是非参考にしてみてください。
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著者
*出典・参考文献・書籍
1)山田弘幸:言語聴覚療法シリーズ6改訂 聴覚障害Ⅱ−臨床編 建白社 P88〜142 2008
2)鳥山稔・田内光:言語聴覚士のための基礎知識 耳鼻咽喉科学 医学書院 P36〜80 2007