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失語症-話すリハビリ,喚語困難,錯語
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失語症コラム③話すリハビリ,喚語困難,錯語

失語症コラム①では、失語症の種類や症状などについてご紹介しました。当コラムは全4回で解説しています。目次はこちらです。

コラム①失語症って何?
コラム②理解のリハビリ,聴く&読む
コラム③話すリハビリ,喚語困難,錯語
コラム④書くリハビリ,変な言葉を書いちゃう!錯書 

今回は話すリハビリ」について紹介します。失語症に「言葉が出てこない」という症状があります。特徴と具体的なリハビリを把握していきましょう。 

 

発話の仕組み・失語症の特徴 

私たちが言葉を伝える時は、4つの段階を踏んでいます。 

①「伝えたい内容」を思い浮かべる 
②「伝えたい内容」に合った単語を選ぶ 
③選んだ単語の音を並べる 
④選んだ単語を言葉にする 

この過程は健康な人であれば、無意識に行っていることです。しかし失語症の人には困難な場合が多く、イメージした内容にあった言葉を正しく伝えることができません。 

ここでは「カレー」と伝えたいときを例に、健康な人と失語症の人とではどのような違いがあるかを見ていきます。 

カレーライス

 

①「伝えたい内容」を思い浮かべる  

健康な人
「カレー」のイメージが思い浮かぶ
失語症の人
「カレー」のイメージがおおよそ思い浮かぶ

失語症の人は、健康な人と同じようなイメージができます。 

 

②「伝えたい内容」に合った単語を選ぶ 

健康な人
イメージに対して「カレー」という単語を無意識に選ぶことができる。 
失語症の人
イメージに対して単語を選ぶことができない。選び間違える。 

失語症の人は「色はわかるし味も想像できる、見たこともあるけど…なんて名前だっけ…」このように、イメージした内容の言葉を選ぶことができません。

また「カレー」のイメージに対して「うどん」など、違う単語を選んでしまうことがあります。 

 

③選んだ単語の音を並べる 

健康な人
イメージした単語「カレー」の音を“カレー”と無意識に変換できる。 
失語症の人
イメージした単語の音を並べることができない。音の並びを間違える。 

失語症の人は「カレー?レーカ?ん?(あれ?発音する順番はなんだっけ?)…」このように、音を正しく並べることが困難なため「カレー」という単語を「レカー」と言い間違えてしまうこともあります。 

 

④選んだ単語を言葉にする 

健康な人
イメージした内容にあった言葉「カレー」を選び、正しい発音で言葉にできる。 
失語症の人
イメージした内容を正しい言葉にできない。言葉がでてこない。 

失語症の人は「“カレー”って言いたいのに、あれ??…」このような状態になってしまい、言葉が出てきません。またイメージにあった単語が選べても、正しい音で言葉にすることができないのです。 

 

言葉が出てこない時の訓練 

失語症で言葉が出てこない原因は
「正しい単語を選べない」
「音を間違える」
「単語を言葉にできない」
の3つが代表的です。

リハビリでは、それぞれの問題にアプローチする方法で、症状の改善を目指していきます。ここではリハビリの一例をご紹介します。具体的に見ていきましょう。

 

正しい単語を選ぶ

イメージした内容にあった単語を選ぶため、カテゴリーを整理して言葉を選びやすくしていきます。 

たとえば、絵や言葉を提示して、仲間はずれを選ぶ訓練をします。 

“仲間はハズレを選んでください” 

「人参・茄子・椅子」

このような訓練をすることで、単語とその単語が意味するものの結びつきが強くなりイメージにあった言葉を選びやすくなります。 

 

音を正しく並べる 

選んだ単語の音を正しく並べるため、音を正しい順番で並べる訓練をしていきます。 

たとえば、

「イス」と問題を提示した後に 

「い」「な」「す」 

この中から「イス」に必要な音を選んで、正しく並べる

というリハビリを行います。このような音の処理を繰り返すことで、選んだ言葉の音を正しく変換していきます。 

 

選んだ単語を言葉にする 

選んだ単語を言葉にするため、絵カードや写真、実物を使って名前を言う訓練をしていきます。 

たとえば、「鉛筆」を見せて、名前を言ってもらう。 

難しい場合には「“え”から始まります」「紙に文字を書くときに使います」など、ヒントを出して、言葉を言いやすくしていきます。 

 

ご家族の方へ,接し方 

家族や友人など身近な人に失語症の方がいる場合には「どのような接し方をするといいのか…」悩むことは多いと思います。言葉が出てこない人と会話をする時には、

・発話をじっくり待つ 
・ヒントを出す 
・実物を提示する 

を大切にしてみてください。 

失語症の方と接する時には、発話を急かさないようにします。「焦らないように」「聞いているよ」このような気持ちで発話をじっくりと待つようにします。 

また言葉がなかなか出てこない時には、「時計のこと?」「財布?」など、文脈から理解できる範囲で、言葉や実物でヒントを出すようにします。イメージした内容と言葉が一致しやすくコミュニケーションがしやすくなるでしょう。 

ヒントを出すことは、発話の諦め防止にもなります。言葉が出てこない状況でストレスを最も感じているのは失語症の患者様ご自身です。

そのため言葉が出ない時間が長くなると、発話を諦めてしまう場合もあります。諦め防止のためにも、会話ではヒントを出すような接し方を心がけてみてください。 

 

まとめ 

今回は、言葉が出てこない原因とそのリハビリについてお伝えしました。リハビリはほんの一例ですが、ぜひ取り入れてみてください。 

次回の失語症コラムでは、書くリハビリついてご紹介します。 

次のコラムも是非参考にしてみてください。

コラム①失語症って何?
コラム②理解のリハビリ,聴く&読む
コラム③話すリハビリ,喚語困難,錯語
コラム④書くリハビリ,変な言葉を書いちゃう!錯書 

お知らせ

ここで少しだけお知らせをさせてください。私林は言語聴覚士として、声や聴覚にお悩みの方の個人レッスンを行っています。 

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という方は良かったら私のレッスンを受けてみませんか? 

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著者

林 桃子(言語聴覚士)

経歴

・リハビリテーション病院 勤務
・総合病院 勤務
・デイサービス 非常勤勤務
・言語聴覚士養成校 非常勤講師

*参考文献・書籍 
・竹内京子.”楽しい音声学株式会社くろしお出版(2019):12. 
・al.”言語聴覚療法臨床マニュアル改定第3版”協同医書出版社(2014):180-236. 
・小嶋知幸.”失語症の源流を訪ねて-言語聴覚士のカルテから-”金原出版株式会社(2014):54-137. 
・小島知幸.”なるほど!失語症の評価と治療 検査結果の解釈から訓練法の立案まで”金原出版株式会社(2010):2-95. 

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