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ブローカ失語の方,リハビリ,支援の仕方,家族の方へ
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ブローカ失語の方,リハビリ,支援の仕方,家族の方へ②

ブローカ失語コラム①では、ブローカ失語の基礎を解説してきました。ブローカ失語の方は失語症の中でも誤解を受けやすいため、周囲の人が症状について理解を深め、適切な接し方をする必要があります。

今回は「ブローカ失語の方とのアプローチ方法」を4つ紹介していきます。ブローカ失語との付き合い方について

①短文でゆっくり話しかける

ブローカ失語の人の聴覚的理解は「比較的良好」ですが、長々と回りくどい話し方の理解は困難です。従って、アプローチ方法として下記の点に工夫してお話する良いでしょう。

・短い言葉で話す
・分かりやすい言葉で話す
・要点を簡潔に話す
・早口になりすぎない

特に大切なお話の場合は、本当に内容が伝わっているかひとつひとつ確認しながら、ゆっくりと会話を進めることも大切です。

②漢字単語を書いて説明

ブローカ失語の方には文字を書いて説明すると良いでしょう。特に平仮名よりも漢字を読むことの方が得意であることが多いとされています。

漢字の中でも、漢字一文字より漢字単語の方が理解しやすいです。その理由は、平仮名は「音」を表すのに対し、漢字は「意味」を表すためです。説明の際には漢字単語を用いてみましょう。

なお平仮名で書いて説明したり、平仮名五十音表を指で差してもらったりする方法は、ブローカ失語の方にとっては有効とは言えません。ブローカ失語の改善を目指そう

③質問の仕方を工夫する

ブローカ失語の方は、分かりやすく質問すればその意味は理解できる場合が多いでしょう。しかし、音声を表出して答えることが困難であるので、質問そのものが理解されていないと誤解を招きがちです。

そこで質問の仕方を工夫する必要があります。一番良いのは「はい」か「いいえ」で答えられるように質問をすることです。回答を「はい」「いいえ」のどちらかに限定することで、発話の苦手なブローカ失語の方にとっても答えやすくなります。

発話以外の表情や頷き、首振りなどからも、意思を判断しやすくなります。

ブローカ失語,はい,いいえ

④コミュニケーションノートの作成

重度のブローカ失語の方の場合は、これまで説明したアプローチ方法を組み合わせてもうまく意思疎通ができないことがあります。

このような場合は、あらかじめ選択肢を用意するための、コミュニケーションノートを作って用いるとスムーズに会話しやすくなります。

例えば、
体調や気分について尋ねたい時「良好」「普通」「悪い」という漢字単語と表情のイラストを描いたページをあらかじめ作成しておいて、指で差してもらうのです。

他には、まず食べ物や飲み物などカテゴリーごとのページを作りましょう。そこにイラストや写真を貼っておけば、その中から欲しいものを指差して選んでもらうことができます。

同じように「人物」「場所」「物」「動作」のような、日常生活でその人が必要とされる言葉を選んで、文字やイラスト、写真を用意しておくと良いでしょう。

まとめとお知らせ

まとめ

ここまでブローカ失語について解説してきました。ブローカ失語は非流暢性の失語症です。ブローカ失語は、数ある失語症の中でも、特に精神面でのケアが必要です。

そのために家族の方は、ブローカ失語の詳しい症状や支援の仕方を理解して関わるようにしていきましょう。

もし私に相談したい!と感じたらぜひお声がけください。詳しくは下記の看板にお知らせがあります。是非お待ちしています。



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著者

林 桃子(言語聴覚士)

経歴

・リハビリテーション病院 勤務
・総合病院 勤務
・デイサービス 非常勤勤務
・言語聴覚士養成校 非常勤講師

*出典・参考文献
・失語症臨床ガイド―症状別理論と42症例による訓練・治療の実際, 竹内愛子, 2003
・失語症言語治療の基礎, 紺野加奈江, 2001
・高次脳機能障害学, 石合純生, 2003

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