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滑舌のトレーニング方法を専門家が解説します
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~ 滑舌コラム ~ 滑舌コラム①:舌の力をリセットする方法

みなさんはじめまして!国家資格‐言語聴覚士の林です。私はこれまで、総合病院や吃音改善機関で患者さんへのリハビリを8年行っていました。現在は、言語聴覚士養成校の講師、滑舌や吃音にお悩みの方に改善レッスンを行っています。

このコラムのテーマは「滑舌」です!滑舌にお悩みの方に向けて、具体的な解決策や滑舌を改善するのに必要な知識などをお伝えしていきます!目次は以下の通りです。

入門編-トレーニング

コラム① 舌の力をリセットする方法
コラム② 舌の動きを良くする方法
コラム③ 滑舌を良くする息の出し方
コラム④ 単語の音のつながりを改善する
コラム⑤ 意識しないで正しい発音で話す

発展編-診断,お悩み相談

コラム⑥ 滑舌診断・チェック  
コラム⑦ 滑舌と関係する障害の可能性 
コラム⑧ 滑舌と吃音の違いって何?
この順番で、ご紹介していきます。

出来るだけ、すぐに取り組めるトレーニングをご紹介したいと思います。是非、練習を試しながら読み進めてみてください!

滑舌が悪くなる原因5つ

さっそくですが、まずは滑舌が悪くなる原因を紹介したいと思います。代表的な原因は以下の5つです。当てはまるものが多いほど、滑舌が悪くなりやすいと言えます。自分の状態と比較しながら読み進めてみてください。

① 舌が力んでいる 

舌に力が入りすぎると滑舌が悪くなります。舌に必要以上の力が入るため、スムーズに舌を動かすことができず、発音が悪くなってしまいます。例えば、舌をベーっと出して、舌の力を抜いてみてください。ピクピクしてしまったり、舌が後ろに戻ってしまったりする方は舌が力んでいるといえそうです。詳しくは当コラムで改善策をお伝えします。

② 舌の使い方が下手

これは、舌が不器用だということです。正しい発音に必要な動きができないため、発音が曖昧になってしまいます。例えば、舌の先端で左右の広角に触れてみてください。ちょうど舌の先で口角にピタッと触れられない方は、舌の使い方が下手だといえそうです。詳しくは滑舌コラム②でトレーニング方法をお伝えします。

③ 息を口の中心から出せない

息が口の両側から漏れてしまったり、うまく息を口の中心から出すことができなかったりするため、はっきり発音ができなくなってしまいます。例えば、話していて口角から息が漏れているかも…!という方は、息が口の中心から出ていないといえそうです。詳しくは滑舌コラム③でトレーニング方法をお伝えします。

④ 音の繋がりがうまくいかない

1音の発音が出来るようになっても、連なっている音を正確に発音することができないため、単語や文章、普段の会話の発音が良くなりにくくなってしまいます。例えば、1音であれば正しく発音できるのに単語になると難しい方は、音の繋がりが苦手な傾向があります。詳しくは滑舌コラム④でトレーニング方法をお伝えします。

⑤ 舌の持久力がない

舌の持久力というのは連続して発音し続ける力のことです。日常生活では、発音を連続で行いながらコミュニケーションを取ります。舌の持久力がないと、正しい発音を持続させることが難しくなってしまいます。発音の練習をしているけれど、なかなか日常生活に正しい発音を生かせない方は、まだ意識して正しい発音を行っている傾向があります。詳しくは滑舌コラム⑤でトレーニング法をお伝えします。

これらが、代表的な滑舌が悪くなる原因です。特にそれぞれしっかりトレーニングをしていきますので是非一緒にがんばっていきましょう。

滑舌で印象が変わる。トレーニングや練習方法を学ぼう

レッスン①舌の力みを取ろう

それでは早速トレーニングに進みましょう!滑舌が悪くなる原因の1つ目、「舌の力み」を改善する方法を行います。舌に力みがあると、具体的には以下のようなことが起きてしまいます。

滑舌と舌の重要性

「舌に余計な力が入る(舌の力み)」
  ↓
「動きが硬くなる」  
  ↓
「スムーズに動かせない」
  ↓
「頑張って動かそうとする」
  ↓
「さらに力む」

このように悪循環に陥ってしまい、舌の力みが取れにくくなっています。このような状態では、いくら発音の練習を頑張っても力みが増すだけです。発音の邪魔をしている力みが取れないのですから、滑舌を良くすることは難しいです。滑舌の改善には、舌の不必要な力である“舌の力み”を取り除くことが必要です。

滑舌トレーニングの方法を言語聴覚士が解説しています

舌リラックス5ステップ

舌の力みを取り除くトレーニングをご紹介します。鏡を見ながら実際に行ってみてください!

目的
・舌の不必要な力みを防ぐ
・舌の力加減を身につける
・舌を動かしやすくする

舌トレ
① 縦に指が3本入るくらい口を大きく開けましょう。

② 口を開けたまま、舌を前に出します。

③ 下唇に舌を乗せて、力を抜いてください。
  下唇に舌を預けるようなイメージです。
  このとき、全身の力を抜くように意識するとコツをつかみやすいです。

④ 舌の力が抜けているか確認します。
 ◯舌の脱力ができている(正しい状態)
 ・舌がピクピクと動いていない
 ・舌の先端が平らになっている

 ×舌の脱力ができていない(悪い状態)
 ・舌がピクピクと動く
 ・舌の先端が平らでない
⑤ 舌の力が抜いた状態を5秒キープします。

舌トレはいかがでしたか?
うまくコツが掴めないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

このトレーニングは、滑舌を良くするために必要な基礎練習です。まずは、舌の脱力5秒キープを1回できるようにやってみましょう!コツを掴んできたという方は、5秒キープ×5回を目標にトライしてみてください。

正しい発音練習で滑舌改善!

地道なトレーニングが鍵

発音は、とても細かい動作を素早く行う必要があります。そのため、ほんの少し動きが違うだけで違和感を感じてしまいます。この違和感を無くし、滑舌を改善するためには、正しい発音を身につけることが一番の近道です。

また、すぐに改善をさせようと焦らず、それぞれの原因に対するトレーニングを根気強く続けることが大切です。

滑舌の改善は人生に関わる⁈

子どもの音韻研究で有名なGierut, Judith A(1998)は『滑舌が悪いとできる限りコミュニケーションスキルを必要としてない生活を選びがちになる。例えば、仕事についたり、進学を諦めたりしてしまう可能性がある。しかし、治療をすることで社会生活を良くすることができる。』と主張しています。

また、声に関する他の研究では、行動により相手に与える声の印象は全体の約45%あるといわれています。その内訳は聴覚情報が38%、言語情報が7%です。

声の印象というのは、具体的に
 ・イントネーション
 ・話す速さ
 ・声の高さ
などのことで、滑舌はこの声の印象に含まれます。滑舌が悪いとそれだけで全体の印象も悪くなってしまったり、自信の無さ(コンプレックス)が出てしまったりするかもしれません。

すると、選択肢が少なくしてしまう可能性があります。やりたいことがあっても、滑舌のせいで自分のやりたいことを諦めてしまうことは、とても勿体無いですね。根気強く、滑舌の改善を目指しましょう♪

次回以降は具体的な改善策

次回以降は、このコラムでご紹介した滑舌を悪くする原因とお悩みへの解決策をご紹介していきます!

★滑舌改善は力を抜くことから!

 



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著者

林 桃子(言語聴覚士)

経歴

・リハビリテーション病院 勤務
・総合病院 勤務
・デイサービス 非常勤勤務
・言語聴覚士養成校 非常勤講師

*出典・参考文献・書籍
1)菅原衣織, and 伊藤貴之. "倍音分析によるいい声作りの支援アプリ開発に向けて." エンタテインメントコンピューティングシンポジウム 2013 論文集 2013 (2013): 51-55.
2)平野美保. "パラ言語スキルに焦点化した音声行動学習プログラムの開発と評価: 職業生活に向けたコミュニケーションスキル獲得の支援のために." 日本教育工学会論文誌 34.1 (2010): 23-33.
3)本間慎治ら:”言語聴覚療法シリーズ7 改定 機能性構音障害”建帛社(2007):11-116.
4)小寺富子:”言語聴覚療法臨床マニュアル 改定第2版”協同医書出版社(2004): 348-397,418-439.
5)平野哲雄,長谷川健一,et al.”言語聴覚療法臨床マニュアル改定第3版”協同医書出版社(2014):364-439.
6)Gierut, Judith A. "Treatment efficacy: Functional phonological disorders in children." Journal of Speech, Language, and Hearing Research 41.1 (1998): S85-S100.