構音障害コラム④構造の問題!器質性構音障害
コラム③では、機能性構音障害について解説しました。
改めて全体を振り返ると、
コラム②リハビリが鍵!運動障害性構音障害
コラム③舌の使い方の問題!機能性構音障害
コラム④構造の問題!器質性構音障害
コラム⑤発展編!簡易チェック
でしたね。
今回はコラム④構造の問題!器質性構音障害について解説していきます。
今回の目標は
・器質性構音障害を知る
・口や舌のことを知る
・正しい発音をしてみる
です。
では、さっそくはじめましょう!
器質性構音障害とは
定義
器質性構音障害とは、
唇・舌・口蓋(口の天井)・下顎、などの構造に物理的な問題が生じることで起こるもの
このせいで、うまく発音することができません。
症状と問題
具体的にどんな問題が起こるかというと
・唇の形が変形している
・舌が極端に小さい
・下顎が上顎より出ている
などがあります。
このように発音に必要な部分の”つくり”に問題が生じてしまいます。
特に、舌はほとんどの発音で使います。
ですので、舌に問題が起こると “発音がうまくできない”状態になってしまいます。
なんで構造に問題が?
2つの原因
問題が起こる原因は、先天的なものと後天的なものの2つがあります。
先天的なもの
生まれつき構造に問題がある
例えば
・口唇口蓋裂
・舌小帯短縮症
など
後天的なもの
事故や病気などが原因で構造に問題が生じた
例えば
・事故などによる顔面の外傷
・腫瘍摘出後の舌欠損
など
いずれも、発声発語器官の構造に問題が生じるものです。
これによって、構音に必要な運動をすることができなくなってしまいます。
部位ごとの問題
では、具体的にどんなものがあるのか、先天的なものと後天的なものを各器官ごとにみていきましょう!
1.唇
・先天的:口唇裂
・後天的:外傷、手術後の変形、など
2.舌
・先天的:舌小帯短縮症、小舌症、巨舌症
・後天的:舌癌などの腫瘍摘出手術後の欠損や変形
3.口蓋(口の天井)
・先天的:口蓋裂、口蓋の位置が高い/幅が狭い
4.下顎
・先天的:下顎前突症、第一第二鰓弓症候群
・後天的:外傷、手術による変形、など
これらは構造に問題が起きて、発音がうまくできなくなってしまいます。
正しい構音を練習!
では、具体的な練習方法を見ていきましょう!
今回は、比較的、発音方法がわかりやすい「た行」の発音方法を紹介します。
この練習は、正しい位置で正しい方法の発音を身につけるための練習です。
鏡を見ながら実際にやってみましょう!
・動かすときに意識する:舌の先端
・舌が触れるところ:上の前歯の付け根
①舌で上歯の付け根を触れる
舌の先端で上の前歯の付け根を触ります。
②くっつけたまま「たあ」
舌を上の前歯に触れた状態からスタートです。
舌をくっつけたまま「たあ」と発音します。
③2〜3回繰り返す
「たあ」と2〜3回 繰り返してみましょう。
④「て」「と」も同様に
「た」と同じようにして
「て」「と」を発音してみましょう。
チェックポイント
舌の先端が触れる場所
舌の触れる強さ
これらを確認するように発音してみてください!
難しい場合は、発音がはっきり聞こえていればOKです♪
この練習は簡単だった!という方もいるかもしれませんね。
簡単だと感じたということは、「た行」は正しい位置で正しい方法の発音ができているということです!
日本語の発音には、それぞれは正しい発音の位置と方法があります
苦手な音を発音だけで構いません。正しい発音の位置と方法を確認して発音を改善しましょう!
発展編!簡易チェック
最後に発展編として、器質性構音障害チェックをしてみましょう。
セルフチェック
実際に舌を動かしたり発音したりして、当てはまるものにチェックをしてください。
1.同じ音を言い誤ることが多い
2.速い会話についていけないことがある
3.舌の先端で口の中の天井を触りづらい
4.過去に口唇口蓋裂・舌小帯短縮症と診断された
もしくは手術を受けたことがある
5.舌や唇を動かしづらいと感じる
この5つのうち、2つ以上当てはまる方は器質性構音障害の可能性あります。
改善方法
構造の問題の程度に応じた対処が必要
・手術
・補綴 など
必要な治療(手術など)を行った後、発音の練習を行うことが多いです。
まずは、このコラムでご紹介した練習を行ってみてください♪
気になる場合は、医療機関を受診してみてください。
自分に合った練習を!
器質性構音障害の場合、自分で発音のトレーニングを行ってもなかなか改善しにくいこともあります。
そのような時は、お近くの医療機関に行ってみてください。
・病院に行くほどかな?
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著者
参考文献・書籍
1)斉藤裕恵,et al.”言語聴覚療法シリーズ8 器質性構音障害”建帛社(2002):2,186-206.
2)平野哲雄,長谷川健一,et al.”言語聴覚療法臨床マニュアル改定第3版”協同医書出版社(2014):364-439.