滑舌コラム⑤:滑舌が悪い原因,構音障害,吃音の可能性
前回は発展編として、滑舌チェックや悩み相談をご紹介しました。
発展編-診断,お悩み相談
コラム⑤ 滑舌と構音障害の可能性
コラム⑥ 滑舌と吃音の違い
今回は、発展編の2つ目として「滑舌と構音障害の可能性」について解説していきます。
滑舌の悪さは障害のせい?
もしかして構音障害?
滑舌の悪さは、健康的な範囲内であれば、一般的なトレーニングで改善が可能です。
一方で、いくら練習しても改善ができない場合は、構音障害(こうおんしょうがい)を視野に入れる必要があります。
構音とは専門用語で発音のことをいい、構音障害とは発音に問題がある状態をいいます。
構音障害の場合、誤った方法で練習をしてしまうと、症状が悪化してしまい滑舌が逆に悪くなることもあります。
4種類ある
構音障害の分類としては以下の4つが挙げられます。
以下それぞれの概要についてざっとお伝えします。
1.機能性構音障害
意味
機能性構音障害は以下のように定義できます。
「明らかな原因がないにも関わらず発音がうまくできない」
原因がないというのが特徴で、一見すると舌の動きや構造には問題はありません。それにも関わらず発音が悪くなってしまう状態です。
特徴
幼少期に発音がうまくできないと指摘されて気づくことが多いです。
発音を獲得するとき、修正がうまくできず誤った発音で話し続けてしまいます。
修学前(4〜6歳)くらいで言葉のリハビリを開始することが多いです。
改善の方針
機能性構音障害の改善は言語聴覚療法で行います。
正しく発音できていない音に対して
・発音の方法
・発音の場所
・息の出し方
など、その方が苦手なことをトレーニングしていきます。
詳しくは下記のコラムを参照ください。
▶︎機能性構音障害の意味とは,治療法
2.器質性構音障害
意味
器質性構音障害とは、以下の意味があります。
「舌や唇など、発音に必要な部分に構造的な問題が生じることで発音がうまくできない」
見た目にも問題があるとわかることが多いです。
特徴,発症年齢
器質性の構音障害は生まれつきの事もありますし、後天的な原因であるケースもあります。
①先天的な問題:舌小帯短縮症や口唇口蓋裂など
②後天的な問題:事故や手術などによる後遺症など
このように、発音に必要な舌などを正しく動かすことが構造的に難しい状態をいいます。
改善の方針
器質性構音障害の改善は手術や言語聴覚療法など、症状にあったものを選びます。
具体的には
・手術
・補綴
・発音のトレーニング
などがあります。
詳しくは下記のコラムを参照ください。
3.運動性構音障害
意味
運動障害性構音障害とは、以下の意味があります。
「舌や口唇に麻痺などの障害が生じることで構音がうまくできなくなる」
運動性構音障害は、舌や唇は健常者のようでも、神経や筋肉の問題でうまく動かすことができません。
特徴,発症年齢
運動性構音障害は、幼少期,高齢者の時期に発症することが多いです。
主な原因は、脳血管疾患や事故などです。発音に必要な運動を司る脳の部位を損傷してしまうことで、神経の伝達などに問題が生じて発音ができなくなってしまう状態です。
脳や神経が損傷した場所によって現れる症状やその程度が異なります。
改善の方針
運動障害性構音障害の改善は言語聴覚療法で行います。
・舌や唇などの麻痺に対するリハビリ
・正しく発音できていない音に対するリハビリ
など、その方が苦手なことをトレーニングして、より病前に近い発音を目指します。
詳しくは下記のコラムを参照ください。
4.吃音症(どもり)
意味
吃音とは、以下の意味があります。
「身体(口や舌など)に問題がないにも関わらず、たどたどしい話し方になってしまう」
特徴,発症年齢
2歳ぐらいから傾向がわかります。
・言葉がうまく出てこない
・話そうとするとつまる
などの症状が出てしまいます。
改善の方針
吃音の改善は、2種類あります。
①話し方を変えるトレーニング
②環境や考え方を変えるトレーニング
これらは、目標とする話し方や生活環境によって組み合わせて使うことが多いです。
詳しくは下記のコラムを参照ください。
▶︎吃音症,どもり原因と対応策
アセスメントのお知らせ
あくまでも目安
ここで紹介したものは、発音などの言葉に問題が生じてしまうもののほんの一部です。詳細なアセスメントを受けたい方は、気軽に私にお申し付けください。
舌の動きや息の吐き方を拝見させて頂き、滑舌が悪い原因をお伝えします。詳しくは下記のお知らせの看板をクリックください(^^)ぜひお待ちしています。
お知らせ失礼いたしました。次回のコラムでは、吃音と滑舌の違いについてご紹介します。