声がかすれる,治し方コラム①理由と対処法を解説-言語聴覚士監修
みなさんはじめまして!言語聴覚士の林桃子です。
私はこれまで、総合病院や吃音改善機関で患者さんへのリハビリを8年行っていました。現在は、言語聴覚士養成校の講師、滑舌や吃音にお悩みの方に改善レッスンを行っています。
今回のテーマは
「声がかすれる時の治し方」
です!
全体の目次
コラム① 声がかすれる原因,対処法
コラム② 喉に優しい発声のコツ
このコラムを通して、”声がかすれる”の解決策や声のことについてお伝えしていきます。
発声時に違和感ないですか?
発声とお悩み
私は職業柄、声に関する相談を受けることが多くあります。
例えば
・声がかすれる
・声が届かない
・のどが疲れやすい
などの悩みを抱えている方が多いです。
悪い発声と問題
声がかすれるということは、声帯に負担がかかっているということです。つまり、喉に悪い発声をしているということです。これらを放置しておくと
・喉が痛みが出る
・高い声を出せない
・発声が続かない
・声帯結節
・声帯ポリープ
などの症状が起きてしまうことがあります。
声がかすれるメカニズム
声がかすれるメカニズムについて知っておきましょう!
声が出るメカニズム
私たちは、以下の図のように発声をしています。まずは肺から口に向かって呼気が流れ、声帯が振動し、音が共鳴をするという流れですね。
声帯の異常が声のかすれを起こす
この時、
声帯が乾燥している
酷使し続けている
声帯に異常がある
これらの状態があると、声帯の擦れ合いによる負担が大きくなってしまいます。すると、声帯が硬くなったり、振動しづらくなったりしてしまい、声がかすれてしまいます。
声帯にある2枚の粘膜は1秒間に数百回もの速さでぶつかり合っています。
若干なまなましいですが、声帯の振動の様子です。
画面中央にある少し白っぽい動いているヒダが声帯です。
悪い発声の4大原因
声帯はとても繊細な器官で傷つきやすいところがあります。声帯が傷つく代表的な原因は、
①声の出しすぎ
②無理な発声
③喉に悪い習慣
④風邪
の4つです。当てはまるものが多いほど、声がかすれやすくなる可能性があります。
いくつ当てはまるかな?と数えながら読み進めてみてください。
原因①声の出しすぎ
声帯を使いすぎている状態です。
例えば
・長い時間、話し続けることが多い
・仕事などで声を出す機会が多い
このような場合、声帯に負荷がかかって、喉に痛みや違和感が生じてしまうこともあります。 詳しくは、改善策①「声のお休み」でお伝えします。
原因②無理な発声
「〜すぎる声」は無理をして、声を出しています。
例えば、
・高すぎる声
・低すぎる声
・大きすぎる声
・怒鳴り声
これらの発声は声帯への負荷がとてもに大きいです。 詳しくは、改善策②「喉に優しい発声」でお伝えします。
原因③のどに悪い習慣
発声に良くないといわれる生活環境があります。
例えば、
・喉に力を入れて声を出す
・咳払いが多い
・空気の乾燥や過度の汚れ
・喫煙、飲酒
・過労、ストレス
このような習慣は、声帯の乾燥や組織変化、むくみなどの悪影響が起きてしまう可能性があります。 詳しくは、改善策③「喉に優しい生活習慣」でお伝えします。
原因④風邪
風邪にかかったときも
・咽頭痛
・咽頭乾燥感
・せき
などの症状により、声がかすれてしまったり、出しづらくなることがあります。
声がかすれる‐治し方
先程の原因の中に思い当たる項目が多い人は、声帯に負担がかかり、声がかすれやすくなります。以下治し方の候補をお伝えします。日常生活でできそうなものがありましたら、ぜひ参考にしてみてください。
長話や長電話を避ける
長話、長電話は避けるようにしましょう。15分以上連続して話し続けると、声帯に疲労が出てくるといわれています。発話時間の制限を決めて、必ず守るようにしましょう。
例えば
・会話は1日に10分以内
・1回を30秒以内にする
・連続で話すときは5分休む
など
特に長電話の習慣のある方は、ストップウォッチや砂時計などの活用がおすすめです♪
聞き役を増やす
普段よりも意識して聞き役を増やしましょう。
このとき相槌はできる限り、声を出さないようにします。
例えば、
・うなずく
・表情でリアクション
・ジェスチャー
これらで代用することができます。もちろん人生を通して、声を出さないのはつらいですよね。ある程度声が戻ったら普通にお話しても大丈夫です。
筆談やスマホを使う
可能な限り声を出さないために、メモやスマホのメッセージを代用しましょう。
他にも声を出さずに意思を伝えるツールがたくさんあると思います。
使いやすいものを駆使していきましょう!
水分を摂取する
1日に1.5〜2ℓを目安に水分を摂取しましょう。
・乾燥から声帯を守る
・風邪など声帯の炎症予防
このようなメリットがあります。
健康な時でも、意識して水分を摂ることで声帯への負担を軽減することができます。
マスクを着用する
・汚れた空気から守る
・乾燥予防
このような効果があります。
部屋の湿度をコントロールできない場所や水分の摂取が難しい際は、マスクを着用してみましょう。
副流煙や過度な飲酒を避ける
自分がタバコを吸わなくても、副流煙も声帯によくありません。また、過度な飲酒は声帯に負担をかけてしまいます。
声帯により良い環境を作るためには、できる限り避けた方が良いです。
咳払いをしない
のどの違和感が嫌でついやってしまいますが、声がかすれる可能性を高めてしまいます。
・水分をとる
・マスクをする
・うがいをする
これらをして、咳払いは避けましょう。
優しい声の出し方を練習
声がかすれる方は、声帯に負担がかかりやすい話し方になっている可能性が高いです。次のコラムでは優しい声の出し方を解説しています。
後程こちらの声がかすれる,改善トレーニングも参考にしてみてください。
ひどい時は病院へ
中には声が出しにくくなってしまう病気もあります。
喉のお休みを3日程度行ってみて
・全く改善しない
・違和感が増えている
・痛みが増している
このような場合は、お近くの耳鼻咽喉科を受診してください。
次回は発声の仕方をお伝えします
声にもお休みが必要
「声をお休み」することで、不便に感じることが多いと思います。
こんなに気を付ける必要ある?と感じる方もいるかもしれせんね。
ですが、声がかすれてしまっているということは、それだけ声帯に負担がかかっているということです。
声がかすれるのを放置したら元に戻らないなんてこともあります。
自分の声を守るためにも、しっかり休んで声帯を守りましょう!
お知らせ
ここで少しだけお知らせをさせてください。私林は言語聴覚士として、言葉にお悩みの方の個人レッスンを行ています。
・滑舌が悪い
・原因が自分ではわからない
・個人にあった練習がしたい
・吃音の症状もある
などのお悩みがある方は良かったら私のレッスンを受けてみませんか?個人にあったとレーニングをしっかり提案させて頂きます。
詳しくは下記のお知らせの看板をクリックください(^^)ぜひお待ちしています。
次回は、悪い発声をやめるための方法についてご紹介します。
著者
*出典・参考文献・書籍
1)平野哲雄,長谷川健一,et al.”言語聴覚療法臨床マニュアル改定第3版”協同医書出版社(2014):336-361.
2)伊藤元信,古畑博代”言語治療ハンドブック”医歯薬出版株式会社(2017):265-289.
3)刈安誠.“言語聴覚療法シリーズ 音声障害”建帛社(2009):38–120.
4)医療情報科学研究所”ビジュアルノート第3版”株式会社メディックメディア(1997):I-6-I-7.
5)鳥山稔,田内光”言語聴覚士のための基礎知識 耳鼻咽喉科学”株式会社医学書院(2002):172-190.
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