吃音症,どもりの治療法入門④引き伸ばし,伸発への対処法
コラム③では、入門③繰り返しへの対処法「優しく話す法」をご紹介しました。
改善策は具体的に
入門② ブロックへの対処法
入門③ 繰り返しへの対処法
入門④ 引き伸ばしへの対処法
でしたね。
今回は入門④引き伸ばしへの対処法「区切りの技術」の解説をしていきます。
今回の目標は
・言いやすい長さを知る
・1フレーズ1呼吸で話す
です。
さっそくはじめていきましょう!
引き延ばし,伸発の意味とは
引き伸ばしとは何か?
引き延ばしは、伸発ともいわれる中核症状の1つです。
「とぉーーーーーーーけい」
このように音を伸ばしてしまいます。
・話し始め
・言葉の真ん中
どちらでも起こることもあります。無意識に出てしまうためコントロールすることは難しいですが、呼吸は止まらないので苦しくはありません。
具体的な例についてはユーチューバーの「ふがすたじお」さんが動画で作成して下さっています。参考にしてみてください。
発症初期に多い
引き伸ばしは、発症して間もない時期によくみられます。しかし、大人になるにつれて減っていきます。
なぜ、症状が減るかというと、吃音の症状を隠すのがうまくなるからです。
例えば
「こーーーんにちは」
となってしまいそうだから
「どうも」
に変えてしまう。
このように、言えない言葉を
・避ける
・隠す
これらがうまくなるため、引き伸ばしはみられなくなっていきます。
引き伸ばしの原因とは
引き伸ばしの原因は、ブロック症状と繰り返しにそれぞれ共通する部分があります。
声帯や舌の緊張
ブロックと共通する部分についてはコラム2でもお伝えした通り、交感神経が働いて「声帯や舌の緊張」が起きてしまいます。
次の音に繋げるのが苦手
繰り返しと共通する部分についてはコラム3でお伝えしたものの中の「次の音に繋げるのが苦手」があります。
例えば、3文字の単語「とけい」が言えないとき、次の音の「け」が出てこないため「とーーー」と最初の音を伸ばしてしまいます。
引き伸ばし改善-区切る技術-
引き伸ばしについては、以下の2つの練習が効果的です。
・区切りの技術
・抑揚の練習
①話す量を調整
まずは、1度に話す量の調整をします。息苦しくならずに話せる長さを知りましょう。
自分の話やすいところで切ってOKです!
例えば、15文字前後が区切りやすいと感じた方は以下のように話していきます。
「お電話ありがとうございます。/ 〇〇会社の林でございます。」
②同じ長さで練習
苦しくならずに話せる長さが分かったら、同じ長さで練習をしましょう。
1呼吸で言えるくらいの短い言葉は、区切らないでそのまま話しましょう!
こんなふうに助詞を抜いてもOK!
このようになるのを防ぎます^ ^楽に話せるな 〜を感じられるフレーズの長さが分かればOKです♪最初は短いフレーズで、徐々に長くして練習を積んでみてください^^
1フレーズにこだわりすぎて、息が足りなくなるのは注意⚠︎しましょう!
講師の視点
区切り方を意識するトレーニングは、引き伸ばしだけでなく他の言語症状にも有効です。ブロックや繰り返しでお悩みの方もぜひ参考にしてみてください。
抑揚の練習
『いつもこのフレーズが言えない…!』そんな方に特におすすめの方法です。
①紙に書く
練習したいフレーズを紙に書きましょう。語尾に”♪”を書きたします。
②抑揚をつける
紙に書いた文字を抑揚をつけて音読します。”♪”を表現して音読してみてください。少しオーバーだなと思われるかも?と思うくらい”♪”をつけます。
新しい歌を覚えるつもりでやってみましょう!
講師の視点
・抑揚の練習は、モデルとなる音声を真似して行うとより良いです。身近な抑揚がある話し方だなと思う人の話し方をぜひ参考にしてみてください。
まとめとお知らせ
まとめ
入門コラムを通してここまで、吃音症やどもりに効果があるトレーニング法を解説してきました。吃音は先天的な原因もありますが、訓練で改善することも可能です。
当コラムが少しでも発音のしやすさにつながって、人間関係を積極的に構築されることを願ってやみません。焦らず、話しやすい話し方を見つけてくださいね^^
またもし私に相談したい!と感じたらぜひお声がけください。詳しくは下記の看板にお知らせがあります。是非お待ちしています。
著者
1)小澤恵美,et al.”吃音検査法 第2版 解説”学苑社(2013):8-49.
2)菊池良和”エビデンスに基づいた吃音支援入門”学苑社(2012):12-106.
3)苅安誠. "吃音のブロック症状に対するリズム発話と運動制御アプローチの効果." 音声言語医学 31.3 (1990): 271-279.
4)平野哲雄,長谷川健一,et al.”言語聴覚療法臨床マニュアル改定第3版”協同医書出版社(2014):364-439.
5)小寺富子”言語聴覚療法 臨床マニュアル改定第2版"協同医書出版社(2007):418-439.
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