難聴③読話と筆談のやり方,併用して会話をしよう
難聴コラム①では、難聴の原因や重要度などについてご紹介しました。当コラムは全4回で解説していきます。
今回は「筆談と読話」について、具体的な学習方法も含めて説明していきます。
視覚の併用がカギ
難聴の方のほとんどは、補聴器を使用して音声コミュニケーションを行っています。
しかし、聴力を補填しても、言葉の聞き取りがうまくできずないこともあります。また、ガヤガヤしてうるさい環境や極端に小さい声での会話も、音声コミュニケーションが難しいです。
その対策が筆談や読話のような視覚的コミュニケーションです。これらを併用することによって、音声と視覚どちらからも情報を得ることができます。そのため、より正確なコミュニケーションが可能です。
では、具体的にどのように併用するのでしょうか。
文字言語でコミュニケーション
まずは「筆談」です。これはもっとも簡単ですぐに併用できる方法です。また特別な学習が必要ないため、誰とでもコミュニケーションができます。
具体的には以下のような方法があります。
・ノートやボードに文字を書く
・人名や地名、名詞などで空書する
難聴者はメモ帳やホワイトボードなどを持ち歩いていることが多く、それらを使って会話を行います。最近では、タブレットなどのメモや手書きのツールを用いること多くなっているようです。
口の動きを読む
次に「読話」です。これは、話しているときの口などの動きを読み取ることで、相手の発話を理解する方法です。音声言語と併用することでコミュニケーション豊かになります。
具体的には、以下のような箇所の動きを読み取ります。
・口形(唇の形)
・顎
・表情
・身振り
これらの連続的な動きから相手が何を言っているかを理解します。
特に大切になるのが口形です。日本語の音が100種類あるのに対して、口形は14〜15種類しかありません。
これは、同じ口の形になる単語がたくさん存在することになります。そのため、会話の流れから語を推測する必要があります。
読話を習得する段階
読話で難聴者の発話を理解するには、口形の弁別能力と文脈の推測能力の2つが必要です。特に口形の弁別(言葉の聞き取り)には学習が必要です。
①口形を知る
②連続する口形パターンを知る
③音の数や持続時間、単語の知識
④似た口形の単語を知る
このような段階で学習していきます。そして、口の動きを読み取るときに、それぞれに以下のようなポイントがあります。
聞き手
・口形弁別能力
・聴力
・文脈推測能力
話し手
・話す速さ
・声の大きさ
・表情
環境
・明るさ
・体の位置
・会話の人数
・音を妨げるもの
などがあります。これらは、読話能力を左右する要因となります。このような点に注意しながら、段階的に読話を身につけ、難聴者とのコミュニケーションを豊かにしていきます。
まとめ
まとめ
うまく相手の話が聞き取れないときは、是非併用して筆談と読話を試してみてくださいね。次回の難聴コラムでは、「手話」と「指文字」についてご紹介します。当コラムと合わせて活用していきましょう。
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著者
*出典・参考文献・書籍
1)山田弘幸:言語聴覚療法シリーズ6改訂 聴覚障害Ⅱ−臨床編 建白社 P88〜142 2008
2)鳥山稔・田内光:言語聴覚士のための基礎知識 耳鼻咽喉科学 医学書院 P36〜80 2007