母音と子音-発音するときの舌の動き,口の構造を言語聴覚士が解説
みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。
私はこれまで、総合病院や吃音改善機関で患者さんへのリハビリを8年行っていました。
現在は、言語聴覚士養成校の講師、滑舌や吃音にお悩みの方に改善レッスンを行っています。
今回のテーマは
「子音と母音と口,舌の動き」
です!
目次
・母音発声時の舌
・子音発音時の舌
・舌を鍛えたい方へ
この順番で解説していきます!
はじめに
日本語には母音と子音があります。
それぞれに発音方法があり、発音しているときは必ずといっていいほど舌は動いています。
なぜ発音するとき舌が動くかというと、口の中の形を変えて発する音を変えているからです
例えば、 リコーダーは穴を塞ぐことで音が変わります。
しかし、人間には穴はありません。
ですので、舌を動かして、口の形を変えて発する音を変えています。
発音しているとき、舌がどのように動くかをみていきましょう!
少しマニアックになりますが、知っていれば滑舌が良くなる知識です。
ぜひ、読み進めてみてください♪
母音発声時の舌
鍵は口の開き
まずは、母音の発声です。
母音を発声するときの口の形は、2つの要素で決まります。
具体的には
⑴舌と口の天井の距離
口の中が広いか狭いか
⑵舌が動く位置
舌の前方か後方か
これらが組み合わさって、日本語の5つの母音を作り出しています。
母音ごとの舌の違いをみていきましょう!
「あ」舌と口の天井の距離が広い
「い」舌の前方と口の天井の距離が狭い
「う」舌の後ろと口の天井の距離が狭い
「え」舌の前方と口の天井の距離が少し狭い
「お」舌の後ろと口の天井の距離が少し狭い
このように、母音によって口の中の形が異なります。
良い母音の発声は、ポイントを意識すると自然と舌がこのような状態になります!
ですので、ポイントは理にかなっているな〜と感じます^^
子音の発音と舌
次は、子音を発音しているときの舌です。
子音は、舌や唇、声帯などをたくみに使って発音します。
これはほとんど無意識で行われています。
今回は、子音の発音の中の”舌の動き”に絞って解説をしていきます。
発音するとき、舌がどこに触れるのかな?という視点で読んでみてください!
場所が肝心
子音の発音は
⑴舌のどこが
⑵どのように動くか
(運動の方向)
この2つの組み合わせによって音が変わります。
具体的にみていきましょう!
⑴舌のどこが
動かす場所
・舌の先端
・舌の前方
・舌の後方
⑵どのように動くか
(運動の方向)
リコーダーでいう、穴を塞ぐ動作です。
動いた舌がどこへ動いて、どのように元に戻るのかです。
例えば、「か」の発音は
①舌の後方が上がる
②舌が口の天井に触れる
③舌が下方に動く
④母音を発声する
この順番で舌が動きます。
これらの全てを意識して発音することは不可能といえます。
しかし、発音する場所が正しくなければ音は変わってしまいます。
気になる音を開いてチェックしてみてください^^
①舌の先端が上がる
②舌が口の天井に近づく
隙間を作るだけ(触れない)
③舌が下方に勢いよく動く
④母音を発声する
「さ」「す」「せ」「そ」:歯茎
「し」:歯茎のやや後方
これらは触れる場所が少しづつ変わります。
①舌の先端が上がる
②舌が口の天井に触れる
③舌が下方に勢いよく動く
④母音を発声する
「た」「つ」「て」「と」:歯茎
「ち」:歯茎のやや後方
これらは触れる場所が少しづつ変わります。
気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
①舌の先端が上がる
②舌が口の天井に触れる
③舌が下方に動く
(勢いはほぼない
④母音を発声する
「な」「ぬ」「ね」「の」:歯茎
「に」:歯茎より後方の口の天井
これらは触れる場所が少しづつ変わります。
気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
①舌が上がる
②舌が口の天井に近づく
隙間を作るだけ(触れない)
③舌が下方に動く
(勢いはない)
④母音を発声する
①舌の先端が上がる
②舌が口の天井をはじく
③舌が下方に動く
(はじいた流れで)
④母音を発声する
※はじく方向はラ行の5つの音によって異なる場合があります。
また、個人によってそれもバラバラです。
前にはじいてやりづらいと感じたら、後ろにはじいてみてください!
各音のイラストにある○を意識して発音してみてください♪
子音と母音-まとめと発展
まとめ
母音と子音にはそれぞれ発音の方法があります。
私たちが発音するとき、それらはほとんど無意識で行ってします。
しかし、滑舌を改善するとき舌の動きを意識して改善を目指します!
細かくて気が遠くなるかもしれませんが、練習を続ければ少しづつ改善していきます。
滑舌トレーニング
滑舌には発音の練習の他、様々なトレーニングがあります。
例えば、
・舌のリラックス練習
・苦手な発音練習
などがあります!
自分にあったトレーニングに挑戦してみてください!
滑舌についてもっと詳しく知りたい方はこちら♪
▶︎滑舌コラム①
舌の構造を知る
発音を改善するとき、舌のどこを動かすのかイメージできると練習がしやすいです!
トレーニングに大切な舌の構造はこちら
▶︎舌の構造コラム
舌の鍛え方を知る
滑舌を良くするために舌を鍛える練習もあります。
こちらはワンランク上の滑舌を目指すものです。
ぜひトライしてみてください^^
▶︎舌を鍛える
レッスンのお知らせ
もししっかり滑舌を改善したい場合は、弊社の個人レッスンをオススメします!
個人レッスンは言語聴覚士が担当します。
個々の状態に合ったトレーニングメニューをお伝えしていきます。
興味がある方はぜひ、クリックしていただけると嬉しいです♪
お気軽にご連絡ください^^
みなさんの滑舌が良くなるよう、講師も一緒に頑張ります!
著者
*出典・参考文献・書籍
1)西尾正輝:ディサースリアの基礎と臨床 第1巻 理論編 インテルナ出版株式会社 P49〜72 2006
2)上田功. "音韻理論と構音障害 (< 特集> 正常な発話と逸脱した発話)." 音声研究 12.3 (2008): 3-16.
3)白坂康俊、熊田政信:言語聴覚士のための機能性構音障害 医歯薬出版株式会社 P20〜229 2012
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