声が出ない・声が出にくい4つの原因と対処法
みなさんはじめまして!言語聴覚士の林です。
私はこれまで、総合病院や吃音改善機関で患者さんへのリハビリを8年行ってきました。
現在は、言語聴覚士養成校の講師、滑舌や吃音(どもり)にお悩みの方に改善レッスンを行っています。
今回のテーマは
「声が出ない原因と対処法」
です。
声が出ない・声が出にくい状態になってしまう原因の多くは、以下の4つになります。
①日常生活の習慣や加齢によるもの
②職業によるもの
③疾患によるもの
④心因性によるもの
声が出ない・出にくい状態になってしまう原因と対処法について解説していきます。
①日常生活の習慣や加齢
日常生活の習慣、加齢によるものは以下の通りです。
3つの原因
・声帯の酷使
日常生活の中で急に声帯を酷使した場合には声が出にくく、枯れた声になってしまうことがあります。これらの症状は急性の炎症が起きているためです。
友達と長時間話をし過ぎた、応援で大きな声を出し過ぎた時には、声が出ない・声が出にくい状態になってしまいます。
・アルコールやタバコ
アルコールやタバコの習慣が続くことで声帯が炎症を起こし、声がかすれるなど声が出にくい状態になってしまいます。
度数の高いお酒はのどを、タバコの煙は気管や気管支を刺激します。飲酒や喫煙で喉への刺激が継続されると、慢性的な炎症となり声の枯れは治らなくなるのです。
またアルコールが入った状態で、カラオケで大声を出したりすると、声帯の炎症からポリープになってしまうこともあります。さらに、中高年男性で喫煙歴のある人が声の異常を感じた時には、喉頭癌が疑われることもあるのです。
・加齢による委縮
加齢によるものは声帯の委縮です。加齢により声帯が少しずつ委縮し、2枚の声帯の間(声門(せいもん))に隙間ができてきます。この隙間から呼気が漏れることによって、かすれた声が出ることがあります。
対処法
声の酷使で声が出にくい場合は、基本的に自然治癒で大丈夫です。症状が落ち着くまで自然に治るのを待てば、普通は2週間以内に軽快してくるといわれています。一方でアルコールやタバコによる場合は、しっかりと対処することが必要です。
具体的には
・アルコール、タバコは避ける
・できるだけ、喉を休める時間をとる
・乾燥を予防し、水などで喉を湿らせる
特に風邪をひいた時や喉を酷使してしまった時は、アルコールやタバコは厳禁です。
最悪の組合せはタバコ+ストレス
日常生活の習慣からくる声の異常は、それが直接の原因でなくても、深く探っていくとストレスが潜んでいることがあります。そして、重症の疾患の原因になってしまうこともあるのです。
アルコールやタバコなどストレスを解消するための方法が、反対に健康を害する結果となってしまったらどうでしょう? ストレス解消を、健康的な方法にシフトしていけるといいですよね。
このコラムを読みながら、自分のストレス解消法はなんだろう?と少し考えてみてくださいね。
②職業によるもの
日常的に声を出す職業の人は、声が出にくくなりやすいといわれています。
声を使う職業と原因
声を使う職業の人は声が出にくい・声が出ない状態になりやすいです。
例えば
・バスガイド
・保育士
・教師,講師
などです。
加えて声帯結節になることが多いといわれています。声帯結節は、声帯の振動回数が多すぎると起こりやすいといわれています。そのため声帯が短く、振動回数が多い女性に多いのが特徴です。
声が出にくくなる原因には、声帯を多く使う、間違った発声方法が挙げられます。
対処法
職業柄、声帯を酷使している人は、声帯を休ませることが第一です。ゆっくり休むことを心がけましょう。そして声帯結節になってしまった場合、医療機関では、まず保存的治療を行います。
保存的治療とは、薬物療法や誤った発声法を矯正し、正しい発声法を習得させるための音声治療などのことです。これらに治療の効果がみられない場合には、結節の切除手術が検討されます。
このような重症にならないための予防法として、次のような方法があります。
・喉の乾燥を防ぐ
(水分をこまめにとるなど)
・声帯を休ませる
・沈黙療法,筆談
声を出すことを控えると、自然治癒する場合もあります。実際に、教師などは夏休みの間に状態が改善される場合もあるといいます。
症状緩和までの期間
治るまでの期間は人それぞれですが、軽度のものだと2週間ぐらいでよくなる場合もあり、手術をした場合は3ヶ月ほどかかることもあります。この場合も手術後、1~2週間は沈黙療法が必要です。
しかし沈黙療法や筆談等は、それによるストレスがかかってしまいます。水分を取って乾燥を防ぐこと、声帯を休ませることで、早目の対応を心がけていきましょう。
③疾患によるもの
声が出にくくなる疾患
声がでにくくなる代表的な疾患は以下の通りです。
・声帯結節
・声帯ポリープ
・反回神経麻痺
・喉頭癌
・機能性発声障害
声がでにくくなる原因は疾患ごとに異なります。
例えば、
声帯結節は職業的な原因が多いと先ほどお伝えしました。反回神経麻痺は、神経の経路の病気に関係して起こるといわれています。また、喉頭癌は高齢男性の喫煙者が多いとされていますが、声の症状をきっかけとして発見されることが多いといわれています。
これらは声が出ない・出にくくなる代表的な疾患の一部ですが、いずれも声の異常から疾患が見つかるものです。 声帯は身体の他の部分と比べ、比較的観察しやすいところにあります。重大な疾患も早い段階で発見できれば、リスクも大きくならずに済みます。
対処法
疾患が原因の場合、心理的ショック・過度なストレスが原因とされるので、まずは無理をしないことです。必要であればカウンセリングを受け、焦らずゆっくり構えることが必要とされます。休息をとることが最も大切な対処法です。
④心因性のもの
精神的な問題から声が出なくなってしまうという人が、増えているといいます。
心の病気で声がでない
精神的な原因で声が出ない症状は心因性失声症(ヒステリー性失声症)と呼ばれます。咽頭に異常や疾患がないにもかかわらず、声が出ない病気です。心因性失声症は、機能性音声障害のひとつとされています。
機能性障害とは、腫瘍や炎症・麻痺が無いのに声が上手く出せないという病気の総称でいずれも、精神的問題が関連しているのが特徴です。代表的なものとして心因性失声症、音声衰弱症、けいれん性発声障害等があります。
心因性による3つの疾患
・心因性失声症
ヒステリー性失声症とも呼ばれ、突然声が出せなくなるといわれています。心理的なショックや強いストレスが原因で、声が出せなくなり話せなくなるものです。
心因性失声症は、1週間ほどで自然に治ってくることもありますし治療が必要なこともあります。治療としては、服薬や、原因を取り除くカウンセリングが一般的とされていますが、自己診断ではなくしっかりと診断してもらうことが大切です。
しかし、精神的なことが原因なので繰り返し発症することや、半年から1年かかる場合もあります。
心理的な面が大きいので、カウンセリングによって原因を探り出すことが必要といわれており、専門医によるカウンセリングだけでも効果がでることもあります。
詳しくはこちらの動画が参考になると思います。
・音声衰弱症
大部分が心因性のものとされていますが、症状は少し異なります。はじめは普通に発声できるけれども、段々と声が弱くなっていってしまうというものです。
・けいれん性発声障害
絞り出すような声になるものです。声帯を動かす筋肉が過緊張状態になるもので 心因以外の原因も考えられていますが、心因やストレスが誘因ともいわれています。
対処法
「声が出ない」原因が心因性の場合については、精神的なショックやストレスを原因とするものなので、無理をしないことが前提です。
「いつ治るのだろう」と不安に思う焦る気持ちも、ストレスとなってしまいます。治癒する症状ですから、焦らずゆっくり過ごすことが大切です。
加えて周囲の支えがとても大切になります。日ごろから周りの人とコミュニケーションをとり、心に余裕が持てるように過ごすよう心掛けていきましょう。
ストレスへの対処法については下記の動画を参考にしてみてください。もし症状が深刻な場合は、専門医の診察もお勧めします。それぞれ関連する動画を掲載させて頂きます。
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